堀江敏幸『雪沼とその周辺』新潮社 ISBN:410447102X

 ようやく読み終わり。ごく普通の人達の、ありふれた人生のワンシーンから、過去の記憶が呼び起こされ、今とが重なり合うさま。その人間の歩んできた人生がじわじわと浮かび上がってくるようだ。文章にあたたかみを感じる。私の好みは「スタンス・ドット」「イラクサの庭」「緩斜面」かな。「送り火」「レンガを積む」も捨てがたい。「スタンス・ドット」にしろ「緩斜面」にしろ、ラストシーンの鮮やかさに、はっと目が惹きつけられる。堀江敏幸、要チェック!!