東野圭吾『嘘をもうひとつだけ』講談社 ISBN:4062100487

 加賀恭一郎シリーズの短編集。5編収録。「犯人対加賀」の図式で描かれてるから、最初から犯人の見当がついてしまうのだが、完全犯罪のように見える事件の少しのほころびから、隠された事件の真実に辿り着く加賀の推理が見事だ。でも、同時に罪を犯さざるえなかった犯人側の心理も丁寧に描かれているから、ついつい犯人側に感情移入。「事件が解決したぞ!めでたしめでたし」のはずなのに、なんだか釈然としないものがいつまでもいつまでも胸に残る。5編のうち、1番読んで辛かったのは「冷たい灼熱」かな。「狂った計算」は最後のどんでん返しに驚かされたっす。