北村薫『語り女たち』新潮社 ISBN:4104066052

 北村薫版「千夜一夜物語」かな。イマジネーションを刺激される幻想的で不思議な物語が18篇収録。既出の作品やエッセイに触発されて書かれたと思われる作品が多々あり、この物語から始まる広大な物語世界を感じさせて興味深いし、また挿画がとても美しいのだ。美しいだけでなくあたたたみがあり、物語の美しさをいっそう際立たせているように思う。ただ残念なのは、語り手が次々に変わっても、口調(文体)が一様で、変化が感じられないことだろうか。シリーズ化、されるのかな?もしそうなら、また新たに紡がれる不思議な物語の数々を彼だけではなく、この私も、楽しみにしたいものだ。