よしもとばなな『王国 その2 痛み、失われたものの影、そして魔法』新潮社 ISBN:4103834056

 前作の内容を綺麗さっぱり忘れていたけど、なんとか読了。“より遠くまで跳ぼうとするならば、まずその前に、ぐっと身を屈め、沈みこまなくてはならない”な内容なのかな?サブタイトル、そのまんまのお話。主人公雫石はともかく、彼女を取り巻く人々の言葉は胸に響き渡るし、共感も抱く。だけどこの物語は雫石に全てを共鳴させないと読み進めることができなくて、そして私は(まったく共鳴しなかったとは言わないが)、シンクロさせるのがとても辛かったのだ。彼女の中に沈む選民意識みたいなモノが嫌なんだと思う。この物語だって「無条件で受け入れ、身を委ねてくれる人に対してのみ、開いている物語」のようで、読者としてあらゆる全ての人に対象にしていないような気がする。気のせいかな?でも、マルタ島のおばあちゃん、真一郎クン、楓クン、平岡さんがこれから「王国」でどんな役割を果たすのか、とても興味がある。続きが楽しみ♪