本日の読み終わり

わくらば日記

わくらば日記

 作者お得意の昭和へのノスタルジーを、若くして亡くなった美しい姉鈴音(りんね)の思い出とを絡めて情景豊かに描き出した連作集。姉には透視という不思議な能力があって、時には頼まれて事件解決を助けたりするのだけれども、謎解きよりもどちらかというと人間の心を描いた人情話の部分の比重のが大きいかな。そうせざるえないところにまで詰められてしまった犯人の心の闇に心を痛め、透視という能力があるがゆえに、信ずべき人を疑ってかかってしまったと後悔して涙を流す鈴音の心根はなんと清らかなのでしょう。あまりにも真っ当で優等生すぎるのが難と言えば難な物語だけど、続編も楽しみ。ってありますよね?これでお終いなんて我慢できないー!収録された五編のうち、印象強く残ってるのは「流星のまたたき」「夏空への梯子」。それにしても舞台となった昭和30年代なんて、まったく想像もつかないよ、、、。文章で読むよりも映像で見た方がピンと来るのかもしれない。ところで「わくらば」って何ー?