本日の読み終わり

北緯四十三度の神話

北緯四十三度の神話

 いつの頃からか、心から打ち解けることがなくなった姉妹が悲しい事件を乗り越えて和解するまでを描いた、清らかでとても美しい物語。一人っ子で育ったもので、姉妹の間に横たわるものの存在がイマイチよく分んない。成長の過程で、お互いにお互いが憎悪の対象となったりするものなのでしょうか。姉の視点で語られる物語なんだけど、ラジオの深夜番組のDJを勤める妹の番組がまるで妹の内面を反映させているかのようで、いい感じ。使い方がとても上手い。程良いクッション的役割を果たしてるかも(番組内でかけられる音楽がとても懐かしいナンバーばかり。聞き返したいなー)。
 どんな物語だったのか、反芻して思い返してみると、まあ、よくありがちな話ではあるけれど、とても繊細に細心の注意を払って丁寧に書きこまれているので、つい引き込まれて読んじゃいます。ぐじぐじと引っ張るクセにあのコトの真相は、そんなコトなんじゃないかと見当がついちゃうんですけどね。
 最後まで読むと、題名と風船の意味が判るのね!とても素敵な物語でした。『雪の夜話』とリンクしてません?もしかしてもしかすると!で、猛烈に読み返して確認したいです。『雪の夜話』を。