本日の読書 いとうせいこう・奥泉光『文芸漫談』

文芸漫談 笑うブンガク入門

文芸漫談 笑うブンガク入門

 私には難解な小説を書いている奥泉光さんが、こーんなにユニークな人だったとは!面白すぎ!「文芸漫談」の「文芸」の部分は渡部直己さんによる解説を読んでも理解できないところがあったけど、「漫談」の部分はお腹の皮がよじれちゃうぐらい大爆笑させていただきました。フルートのこと、桃太郎の寸劇のこと、卒園式のこと、ジェイのわびさびの話、鵜飼の話…ひっひっひっひっ。思い出すだけで笑いが込みあげてきちゃう!
 イロニーも判らないお馬鹿な読者ですが、奥泉さんが創作を始めたきっかけなど創作裏話が読めたのが収穫かな。このヘン、小説家を目指している人向けにアピールした部分かと。
 私が読者として特に参考になったのは、第4章の「バカの大気圧」。

奥泉 でも、「読解者」はそれくらい根強いんですよ。ほとんど「日本近代文学の病気」だと思う。「書かれた言葉と作者の現実はつながっていて、読者は言葉から作者のことを知りうる。それが読むことであるし、文学なんだ」っていう信仰。
いとう 近代文学で「私小説」が始まっちゃったことが非常に大きい。 p.161からp.162

 無意識のうちに重ねて読んでしまうことがあるので、胸に手を当てて深く反省。
 小説家を目指している人もそうじゃない人も、ぜひご一読を。くすくす笑いながら、読書が深くなりさらに楽しくなる1冊です。それにしても、まったくこの通りではないにしろ、ライブでやったんでしょ!!いいなあ。私もライブ会場に見に行きたい!!