本日の読書 太田忠司『甘栗と金貨とエルム』

甘栗と金貨とエルム

甘栗と金貨とエルム

 事故で亡くなった探偵だった父親の仕事を引き継いだ「私」の、探偵としての初めての仕事を描いたハードボイルドタッチの青春&探偵小説。なにぶんにも若葉マークがついてる探偵初心者が探偵なので、もし私が「私」の立場だったら、どうやって人探しするんだろ?なーんて考えながら、楽しく読書しました。
 退学するかどうかなど、自分のこれからを悩む高校生が主人公。人探しする探偵パートがメインのため、ちらりとしか触れられなかった青春小説パートの存在が、私には新鮮でした。依頼人が小学生、探偵も高校生で、未成年者からの視線で大人の事情を批判的に見るというのが、面白いですね(依頼調査を進めることが、父親の過去を知ることにも繋がるところも。父親に父親以外の顔があるなんて、子供は思ってもみないだろうから)。
 ミステリとしては。現実の探偵社に持ち込まれる依頼ってこんな感じなのかな、さほど難度が高くないよねと油断していたら…最後のひねりが効いてますね、やられましたとも(藪を突いたら、とんでもないものが出てきちゃったこの一家のその後が気になるー!いくらそう約束したからって、政治家が親なんだから、普通は結婚する際に猛反対すると思う!)。
 奇異に感じられたタイトルも、読み終えて見ればすかっと爽やか。たぶんシリーズ化されると思いますが、次巻以降も、こんな風に題名をつけるのかしら?
 主人公が名古屋在住なのよね。それを見て「太田さんてばそういえば名古屋の人だったんだあ!」と思い出しました。名古屋在住の人は、もしかしたら作中に、知ってるお店がバンバン出てくるかも!
 そうそう、作中登場する涼子さんて、既刊本があるシリーズキャラクタだったんですね!知らなんだ!これは必ず読まなくちゃ!!!