本日の読書 道尾秀介『骸の爪』

骸の爪

骸の爪

 面白かった!仏像にまつわる超常現象をさりげなく解き明かしながら、殺人事件の謎までも見事に解き明かしてしまう。広げに広げた風呂敷を、パタパタと(夢のような些細なことまで!)見事に畳んでくれるさまは気分爽快!「面白かったー」と(いや、事件にまつわり人死にがたくさん出るので、この言葉は不適切かもしれないけど…)大満足して本を閉じられるのがいいですね。
 ただ、読んでいると、京極夏彦有栖川有栖横溝正史といった先行する作家の影を(あ、探偵役が陰のある美貌の青年だから、ちょい篠田真由美も入ってるか)、どうしても連想してしまうので、読者にそう思わせないようにするのが、今後の課題でしょうか。ややキャラが平板なので、個性を際立たせる必要性もあるかも。
 この道尾が「向日葵〜」や「シャドウ」の作者でもあったら、もっともっと面白いんだけどなー。ってことで、このホラー作家道尾&霊現象探求所の所長真備庄介シリーズの次回作に期待!