本日の読書 上橋菜穂子『獣の奏者』1＆2

獣の奏者 I 闘蛇編

獣の奏者 II 王獣編

　めっちゃ良かった〜（感涙）。てっきり新シリーズスタートなのかと思ったら、この1、2巻で完結なのね（涙）。短すぎるよ〜でも、めっちゃいい話だったよ〜えぐえぐえぐ。未読の上橋ファンは絶対に読むべし読むべし！
　自分たちとは異なる霧の民の血を引くからと、絶えず周囲からの偏見のまなざしに晒されながらも、強く凛々しく生きてきたエリンの姿が胸を打ちます。自分らしく生きるために、王獣の医術師の道を目指すんですが、そこで傷ついた王獣の子、リランと運命的な出会いをする。人間と、人に決して慣れないとされる王獣の交歓。エリンと王獣の交わりは、リョザ神王国の複雑な成り立ち−穢れなき真王と穢れた存在である大公−そのバランスを崩しかねないものだった、、、。
様々な立場の人間たちの様々な思惑が交錯して、クライマックスへと雪崩れ込んでゆく。
　この作品の根底には『狐笛のかなた』で描かれたことが流れているのかなあと思ったりして（再読せねば）。人と獣。決して混じり合わない存在同士だけど、決して気持ちが通じ合わないわけではない。ラストのクライマックスシーンでは、ついつい胸が熱くなってしまった。
　密かにエリンと結ばれて欲しいなと願ってしまったイアルとは、真王の護衛士という立場から結ばれることがないのかもしれない。だけど、はっきりそうとは描かれていないもんねー。想像の余地を存分に残し、余韻残りまくりのラストに甘やかな期待を抱いて、幸福な思いを胸に、本を閉じましたとさ。
　感じまくったところはたくさんあったけど、やっぱ言葉にするのは難しい！実際に本を読むのが1番！冷静になって考えると意外とシンプルな物語なんだけど、エリンと養い親ジョウンとの短いけれど温かい幸福な日々、傷ついたリランとエリンの交歓の様子、あたかも母のようにエリンを守ってくれるエサルの存在などなど読み所が満載で、どれも心に沁みる。いいわあ〜！本当に素敵なお話でした〜！！！上橋作品、やっぱ素敵ですねえ！！