本日の読書 荻世いをら『公園』  

公園

公園

 薄くて白い本なのに、読み終わるまでに3日かかってしまった(汗)。冒頭の公園でのリンチシーンに引っ掛かってしまい、なかなか読み進められなかったんだけど、この作品、半ばを過ぎたころからよくなりますね。
 文章が魅力的とも、決して上手いとも思わないんだけど、主人公をはじめとする登場人物らが、どんなものに対しても熱くならないし、人間関係にしても踏み込み過ぎない、ある一定の距離感を絶えず保っていて、擬似家族を作ってやたらくっつきたがる風潮と逆を行ってるところが、面白いと思った(本人曰く「面倒くさい」)。
 主人公の友人オノサがいい味出してます。主人公との友情は決して希薄ではないものの、ベタベタしすぎず、すこんと抜けていて、妙な面白味がある。タクシーの運転手さんもそう。他の作品ならもっともっと主人公が積極的に関わって物語に絡んでくるんでしょうが、ここから?と思うところですっと離れていっちゃう。
 これからどんな作品を発表していくのか、次回作がとても楽しみ。恩田陸特集号の「文藝」に彼のインタヴューが載っているので、要チェック、かも。