本日の読書 芦辺拓『探偵と怪人のいるホテル』

探偵と怪人のいるホテル (幻想ミステリ作品集)

探偵と怪人のいるホテル (幻想ミステリ作品集)

 芦辺拓の非ミステリ・ノンシリーズの短篇集。全11篇収録。
 半数が「異形コレクション」に発表されたとあって、怪奇と幻想、そしてレトロな雰囲気が濃厚に漂う作品ばかり。現実と、虚構であるがゆえに豊かで艶やかな「物語」の境界を行き来したゆかう作品も多く、眩惑される。「物語」のあちら側の世界へ行ってしまいたいという誘惑と戦うのが大変だった(名探偵花筐城太郎と殺人喜劇王シリーズを探して読むこと!)。
 もしかして日本人の原風景なのか?レトロ探偵小説がお好きな方にはたまんない作品集かもしれない。作家芦辺拓の深い愛情をひしひしと感じる。愛が高じて作品のみならず、作品を生み出した作者らへのオマージュ作品まであるんですから!素晴らしい!
 そして幻の商業誌デヴュー作品「異類五種」(中国怪異譚)に、プレ芦辺作品「疫病草紙」(王朝風幻想譚)まで収録されていて、今回読めるのも嬉しい。てっきりミステリ出身の作家さんだとばかり思っていたけど、幻想怪奇作家なのか!作家芦辺拓、これから要チェック!!