本日の読書 田中慎弥『図書準備室』
- 作者: 田中慎弥
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2007/01/30
- メディア: 単行本
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「図書準備室」は「なぜ自分は、30過ぎても母親頼みでダメな引きこもりなのか」その理由を、自己弁護しつつ饒舌に自分の過去をしゃべりまくる男の物語。次第にエスカレートしていくモノローグの内容がものすごい。中学時代の国語教師吉岡との対峙に思わず注目させられる。戦争とリンチ。現実?それとも、それ自体が妄想なのか?物語の構成がお見事。
「冷たい水の羊」は、独自の理論を持ついじめられっこの大橋の物語。いじめっこの少年北上からの仕打ちを、冷静かつ醒めた目で、始終観察しているのが印象的だ。「美しい死」を夢想するさまがとても詩的で、大橋の決断の行方にハラハラドキドキしながら、つい最後まで読んでしまった(後半になって、視点がぶれるのが欠点か)。
[2編収録された作品集なんだけど、表題作で「…む?」、同時収録の「冷たい水の羊」で「!!!!」。なんというか…非常にホモくさい(爆)。「冷たい水の羊」を読んで三島の『仮面の告白』を連想しちゃった。いじめられっこが主人公なんだが、美しい少年にいじめられるのを喜んでるみたいなんだよね(笑)。自殺を夢想するんだけど、その方法っていうのが!!!きゃあきゃあ。]
今後の田中慎弥に要チェック!!