本日の読書 津原泰水『ペニス』

ペニス

ペニス

 幻想色が大変強いミステリ小説。主人公の現実と追憶と夢想と幻想が境目なく入り乱れて眩惑させられ、クラクラしてくるところがものすご〜く好み(もしかしてもしかすると、少年の屍体でさえ……!)。唐突に語られるエロティックな回想の数々に戸惑い驚きつつも、それすらさりげなく伏線となって終焉に向って収斂していくのが鳥肌ものだった。ただ、最後の2ページ半で魔法が解けてしまったかのようで、ちょっと興醒めに感じた。私はね。ミステリで落とさなくても良かったのにー!

 でも『蘆屋家の崩壊』とも『赤い竪琴』とも『綺譚集』ともまた違う津原泰水の才能を垣間見れて、とても興味深かった。スゴイとは思っていたけど、こんなにスゴイ人だったとは!スゴすぎ!未読の作品がある僥倖に感謝しつつ、他の著作も読んじゃうつもり。