本日の読書 赤城毅『書物狩人』

書物狩人 (講談社ノベルス)

書物狩人 (講談社ノベルス)

 タイトルと、帯の喜国雅彦さんの推薦文に背中押されて購入。名前は知っていたものの、初めて読む赤城作品だったりします。
 書物狩人とは

 諸国の政府や大企業などの依頼を受けて、世間に出れば大事になりかねない秘密をはらんだ本を、合法非合法を問わず、あらゆる手段を用いて入手してくる

人間のこと。銀色の髪の書物狩人(ル・シャスール)ナカライの凄腕ぶりがうかがえる全4話が収録。
 本そのものよりも、稀覯本にまとわりついてくる歴史の闇、交錯する人間ドラマを描き出すのがメインのようが気がする。歴史的事件の裏側に、実は1冊の本の存在があった…なんてロマンティックだけど、権力や醜い欲望や国同士の政治的駆け引きなんかが絡んでくると、そうも言ってはいられない。そんな中、純粋に書物を愛する書物狩人の活躍は颯爽として清々しい。
 4話のうち一番面白かったのは、騙し騙されの末に…の第3話「Nの喜悲劇」、第4話「実用的な古書」も良かった〜。新光国際大学の半井助教授の授業、一度でいいから受けてみたいな。ま、しょっちゅう休講のようですが(汗)。
 ページを開くと、古書独特の匂いがぷ〜んと立ち上がってきそう。古本好きにはたまらない1冊かと。シリーズ化されるのかな?凄腕の銀色の髪の書物狩人(ル・シャスール)ナカライが書物狩人になった由来を描くエピソードなど、読めたらいいなあ。