本日の読書 石田千『踏切趣味』

踏切趣味

踏切趣味

 『月と菓子パン』に続く、石田千エッセイの2冊目。そして私が、石田千というエッセイストの名前を知ることになった作品でもある。
 本に登場する踏切を見に行くエッセイ。遠足のような散歩のような、歩く速度で綴られる文章が心地良い。踏切りのある光景、そこに住む人々の営み。じっと見つめるまなざしの温かさ、視線の低さ、静謐さが印象的だ。噛めば噛むほど味が出てくるような伸びやかな文章が、心に染みわたる。とてもいい文章を読んだ気分。
 春だし、この本をバックに忍ばせて、電車の旅に出てみたくなる。ちなみに、私が訪れたことがある踏み切りは、芦花公園のものだけでした(汗)。