本日の読書 埜田杳『些末なおもいで』
- 作者: 埜田杳
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2006/12
- メディア: 単行本
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体の一部がかゆくなって、何かが生えて飛んでいってしまい、最後には全身を無くしてしまう奇病「あれ」。「あれ」にかかってしまい体を失い続ける矢鳴と私との出会い。幻想的なイメージで静謐に繊細に綴られる喪失と友情の物語が、静かに胸の底へと沈んでいく。「なすすべもなく、ただ見守っていることしかできない」透明な哀しみ、流す涙が、、、胸に迫ってくる。
ただ、若干感傷的すぎるところが欠点か。共感でき、そして愛しく思えるエピソードが多々あるところは気に入ってるんだけど。
「些末といいながら、ぜんぜん些末じゃないじゃない!!」と読み終えると叫びたくなると思う。存在がなくなってしまうとはどういうことなのかとか、残されたものの胸に残り続ける喪失感の重みとか、いつまでも余韻が残り続けて…もう、たまんない(涙)。この作家の次回作が、私もものすごく楽しみだ。