本日の読書 山本幸久『美晴さんランナウェイ』

美晴さんランナウェイ

美晴さんランナウェイ

 この作品、昭和のかおりがする懐かしくって心温まる大家族ドラマだあ!!世宇子の叔母である美晴さんは、27歳独身で、一家のトラブルメーカー。ここ一番という大切な時に限って、逃げ出してしまう悪癖がある。27歳にしては天真爛漫で破天荒な美晴さんに振舞わされる家族や周囲の人々を、しっかりものの姪っ子世宇子の視線で描いた、連作集です。


 美人なクセに男運が悪いのか、27歳なのにふらふらしてて未婚の美晴さん。美晴さんのやることなすこと、一家にトラブルを引寄せてしまうのよねえ。個性的ではあるものの、あまり知り合いになりたくないタイプかも(汗)。
 だけど「早く嫁に行け!」厄介者扱いされているようで…まるで美晴さんが一家の大黒柱みたいなのだ。その存在感の大きさで、精神的柱になっているというか。厄介者扱いされながらも、そこかしこに温かくて強い家族の絆が見え隠れしていて、ほっこり胸が温かくなる。
 個人的には、世宇子が従兄の自由に寄せる淡い思いが良かったな。従兄同士だしねえ。その後は容易に想像できるんだけど。
 それに、最後になってようやく“ランナウェイ”の真意が明かされるところに、年が離れた末っ子で待望の女の子である美晴さんを、おばあちゃん、可愛がってたんだろうな。この親子関係の描かれ方もすごく良かった。しんみりしちゃった。(ちょっと時系列が入り混んでるんだけど、第1話の構成がスゴイ!「え?」一度じゃ理解できず、何度か読み直しちゃった/汗)