本日の読み終わり 京極夏彦『旧怪談』

旧(ふるい)怪談―耳袋より (幽ブックス)

旧(ふるい)怪談―耳袋より (幽ブックス)

 江戸時代に根岸鎮衛によって書かれた『耳嚢』の中から、現代では“怪談”と読めてしまう怪しい話、奇妙な話を35編選び、『新耳嚢』風に書き改めたもの。新しく書かれた旧い怪談。


 原文はかなりあっさり書かれてるので、こう情景細やかに書き改められると非常に判りやすく、怖さ奇妙さがひしひしと伝わってくる。そんな原文で読む以上に恐ろしく感じられた成功作もあれば、噛み砕きすぎてヘンに感じる作品も。「武士」という言葉が出てくる話の中に、「UMA」とか「キャラクター」とか「オカルト」という言葉が並ぶと、ものすご〜く違和感を感じてしまう。この本、こども向けなのか?


 とはいうものの、随所に挿入されている吉田健氏の挿し絵がなんともいえない寂寥感を醸し出し、怖くてとてもじゃないけど夜中には読めない本になっている。私がぞっとしたのは「可愛がるから」「もうすぐ」「プライド」「どすん」「引いてみた」などなど。子供絡み&ラストでぽーーーんと突き放される、不条理な話に弱いみたい(汗)。