本日の読書 石持浅海『心臓と左手 座間味くんの推理』
- 作者: 石持浅海
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2007/09/21
- メディア: 新書
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美味しい料理を食べながら、飲食店の個室で警察官の大迫と名探偵座間味くんが繰り広げる探偵談義は、空腹も好奇心も満たしてくれる(笑)。1冊で2つ美味しい作品集だ。ま、キレキレの推理を見せてくれるものもあれば、そうはいうけどやっぱ机上の空論では?と思えるものもあって、玉石混淆に思えたけどね。
私が唸ったのは「罠の名前」と「再会」かな。表題作も、座間味くんの名推理を聞かされるまで、ぜんぜんその事実に思い至らなかった!ちゃんと目の前にあったのに、指摘されるまでなぜそんな簡単なことに気付かなかったのかと、歯ぎしりしたくなったっけ。論理の飛躍が見事すぎるほどお見事だ。
ただし、名推理なのかトンでも推理なのかは読み手の判断に委ねられていて、あくまでもファジーなのがちょっと微妙(汗)。だけど終わった事件だけにそんなゆるさが、この安楽椅子探偵には合ってるのかも。それにしても、警察って情けなーい(滝汗)。
この作品を読む前に『月の扉』を再読しようと思っていたのに、果たせずに残念。事件の詳細については語られていないので、この作品から読んでも大丈夫だけど、先に『月の扉』を読んでからこの作品を読んだ方が賢明でしょうね。物騒な事件が多かっただけにこのラストには、胸が熱くなった。
[6編の作品の中に伏線が仕込まれていて、実は座間味くんは…というブラックな最後を期待していたので、感動しつつもちょっと拍子抜けしたんだけど/汗。]