本日の読書 吉野万理子『ROUTE134』

ROUTE134

ROUTE134

 読んでる間中、杉山清貴の歌声が頭の中をぐるぐる(笑)。南葉山を舞台に繰り広げられる恋と再生の物語。あの辺りの土地勘があると、よりく楽しめるかと。
 封印していた過去の嫌な思い出に向き合い、ちゃんとけじめをつけ、未来へ向かって前向きに生きようとする主人公の姿勢が素敵。励まされる。いいなと思ったのは、彼女が彼と再会して救われたように、肝心の彼も…というところだったりする。
 ちょっと昔のトレンディードラマを連想させるものの、過去話に関連させて、物語に決して軽くないいまどきの「いじめ」を織り込んでいるところが目を引く。人間関係の難しさに、一緒になってうんうん唸ったり。こんな風にいったらいいん」ですけどねえ。
 恋愛パートに関しては、まあ最初から予想通りで、意外性がないのが物足りないというかなんというか。ただ、モンキー間中を始めとする登場人物みな個性的かつ魅力的で、要所要所に配された人たちが空回りせずに上手く噛み合って、物語世界を作り上げている感じがする。具体的な情景も目に浮かぶし、ドラマ化したら良さそうだ。素直に読んで楽しかったと思える読了感爽やかな作品です。