古川日出男『ゴッドスター』

ゴッドスター

ゴッドスター

 子供を宿したまま亡くなった姉の代わりのように、偶然出逢った少年と疑似親子になって暮らし始めるあたし。何もかも忘れた少年はカリヲと名づけられ、東京の埋立地を舞台にした物語が始まる、、、。
 たたみかけるかのように綴られる、言葉の、リズミカルな文章を並べることによって生まれる疾走感に酔いながら、無事読了。ストーリはあってなきが如し。心地よい言葉の速度に身をゆだねればいい。まるでこの作品は、音楽のようだ。
 読む人によって好き嫌いはあるだろうけど、作者の試みが上手く表現されている作品だと思う。黙読するよりも、声に出して読む、朗読することによって作品としてより完璧に近づくかと。音読したいし、朗読されたこの作品をぜひ聞いてみたい。