ハラルト・シュテュンプケ『鼻行類』

鼻行類 (平凡社ライブラリー)

鼻行類 (平凡社ライブラリー)

 フィクションなのかノンフィクションなのか。読んでいるうちに混乱してくるものの、そのうちそんなことを考えるのが馬鹿らしくなってくるユニークでチャーミングな一冊。
 哺乳類のクセに鼻の構造が独自である鼻行類の生態についての、詳細な観察記録。よくもまあこんなに!!と驚くこと、間違いなし!(笑)私のお気に入りは、鼻が花弁のように変化し、大きな花に似ているアンケル ヴァニラ ランモドキ(平凡社ライブラリー版の表紙がこれ)に、まさしく鼻行類。多鼻で鼻で歩行するモルゲンシュテルン オオナベームに、まるで花そのもののようなフシギ ハナモドキでしょうか。こーんなちっこくてかーいらしい鼻行類がうじゃうじゃいる鼻行類の楽園ハイアイアイ群島に、行けるもんなら行ってみたいわ(笑)。ヤドリトビハナアルキ類は人間用の粉ミルクで飼育できるんですってよ!(笑)
 鼻行類について大真面目に論ぜられた動物学の専門書の体裁だけど、真相はいかに?ユニークで可愛らしい本ではあるものの、案外と風刺の意味が込められてるんじゃないかと、あとがきに解説を読んで思ったんですけどね。『シュテュンプケ氏の鼻行類』も合わせて読んでみたい。
シュテュンプケ氏の鼻行類―分析と試論 (Documenta Historiae Naturalium)

シュテュンプケ氏の鼻行類―分析と試論 (Documenta Historiae Naturalium)