皆川博子『巫子』

 さっそく到着した皆川博子『巫子』を読書。皆川ワールドというべき独特の美意識に支配された作品はいづれも禍々しく妖しくそして物悲しい。少女を中心に据えた悪夢のような短編を集めた作品集だ。
 何度も何度も読んだことがあって、その度に恐ろしくてたまらなかった収録の「骨董屋」が、久しぶりに読んだら「怖ろしい作品」から「前向きな救いのある物語」と読んだ印象が変わった!それが個人的な収穫(笑)。自伝的要素があるという「冬薔薇」、『倒立する塔の殺人』でも描かれていた少女ゆえの傲慢さ残酷さがいかんなく発揮されている甘美な毒「冥い鏡の中で」、“少女と時間”がテーマの終りなき悪夢「流刑」、そして表題作の「巫子」が強く印象に残った。