竹内真『ビールボーイズ』

ビールボーイズ

ビールボーイズ

 ついこの間、竹内真さんの新刊『ワンダー・ドッグ』を読んで、ワンダーがいる光景、ワンダーが結んだ縁の不思議さにぐわんと胸を熱くしたばかりだというのに、この作品もすんごく良かった。下戸でもビールがたまらなく飲みたくなる、爽やかで清々しい4人の友情と絆の物語だ。
 この作品では第一回から第十回目までの「ビール祭」の様子が語られる。ちなみに「ビール祭」とは、メンツで集まってみんなでビールを飲むこと。ビールにまつわるエピソードの積み重ねが、そのまま4人の友情の歴史になのだ。第十回ビール祭では、そう来るだろうなと思っていた通りの結果になったけど、、、不覚にも涙。第十回までしか語られないが、その後も、順調に回数を重ねていった、、、と思いたい。
 欠点があるとしたら、[不自然にならないよ上手く描かれているけど、でもやっぱりタイトルのボーイズに拘るあまり薫を、、、とどうしえても思えてしまうところと(勇とくっつくのかと思った)、映像化された場合を考えると、12歳の飲酒はともかく(いいんかい!)飲酒運転はダメだろ〜と突っ込みたくなるところかな]。読み始めはエピソードの合間に挿入されてるビールコラムが勢いを殺ぐ気がして巻末にまとめて置いてくれよと思ったけど、だんだん気にならなくなっていったかな。内容にも多少関連のあることだったし。
 「何もかも上手くゆきすぎだろ!」と思えなくはないけど、それよりもとにかく、いつまでも変わらない友情の物語に感動で胸が熱くなった。友情とビールに乾杯!!!
 (竹内作品はまだまだ読んでいない作品が多くて『じーさん武勇伝』『風に桜の舞う道で』『カレーライフ』すら読んでないんだけど、『自転車少年記』(単行本版)の次ぐらいに、この『ビールボーイズ』が好き。)