横浜に澁澤龍彦回顧展を見に行く

 神奈川近代文学館で6日まで開催されていた澁澤龍彦の回顧展「澁澤龍彦 ここちよいサロン展」を見に行く(ホントは私一人で電車に乗っていく予定で早起きしたんだけど、「入籍記念のお祝いもかねて、みんなで行こうよ」ダンナのツルの一声で、家族みんなで車に乗って出かけることに。ガソリン代高騰の折、みなさん遠出を控えたらしく、11時過ぎに家を出たのに、1時間40分ぐらいで横浜に着いちゃった。すげえ!早い!)。
 昨年が没後20年の節目の年で、それゆえに日本各地で回顧展が開催された。そのうち、埼玉と鎌倉と仙台には頑張って見に行った私。よく行ったよなあ、我ながら。この神奈川近代文学館での回顧展は、それらとまたちょっと展示のスタンスが異なっているから、昨年回顧展を訪れまくった人間にも決して飽きさせない。重なる展示品があったとしても見せ方が工夫されているばかりか、かえって、ここぞとばかりに秘蔵中の秘蔵の資料が多数展示されているのには驚いた!(最初の展示品からして今年完成した金子國義の絵画だったし、あの澁澤の書斎にあった四谷シモンの少女の人形も!!!)最終日間際の午後とあって来館者も老若男女決して少なくはなかったものの、つい食い入るようにあれこれ見つめてしまった。ここまで内容の濃い展示だとは思わなかったのが正直なところ。それにしても澁澤って愛されてますねえ。
 この回顧展での私的一番の驚きは、前妻である矢川澄子の存在が隠されず、堂々と紹介されていたこと。今までの展示では、ほのめかしはされていたものの龍子夫人の存在感が強かった。なんだか矢川澄子の存在は、「澁澤龍彦」にとってタブーなんだと思ってたんですよねえ。なんとなく。10年間、奥さんだった人なんだけど。矢川澄子が映ってる写真のみならず結婚しましたハガキまで展示されてるのには、心底驚いた。
 あと、森茉莉が映ってる写真が展示されていたこと。澁澤、矢川、白石かずこ野中ユリら大勢と一緒に森茉莉もいる!昭和42年だから、もっとも晩年の姿ですけどね。接点があったのかな?あったらいいなと思っていただけに、その証拠をみることができて、本当に嬉しかった〜(この写真は図録にも載っていた。おお。仙台でも森茉莉が映ってる写真があったそうだけど…覚えてませんでした/滝汗)。
 澁澤の高校時代からの友人の方が提供してくださったと思しき大変貴重な資料も展示されていて、行こうかどうか最後まで迷っていたけど、行ってよかったーと心底思える展示だった。神奈川近代文学館だけで全国は巡回しないのかな?すればいいのにー。
 (本棚整理でもしようかと魔窟に入って…整理そっちのけで長い間積みっぱなしのユリイカ増刊「矢川澄子」を手に取り、パラパラと読み始めてしまった。なんというか、、、、(涙)。矢川澄子作品も少しづつ読もう。
 あ、ユリイカ増刊に載ってた白石かずこさんの詩の一部分が、毛筆で書かれて回顧展で展示されてたの。いいもん、見ちゃったな〜♪)

 そうそう6月6日は、森茉莉の命日でもありました。合掌。