乾くるみ『カラット探偵事務所の事件簿』1巻
- 作者: 乾くるみ
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2008/09/13
- メディア: ハードカバー
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「あの乾くるみだから!」どんな仕掛けで驚かせ、楽しませてくれるのかと楽しみに読んだら、、、そりゃどの話も凝りに凝りまくってて唸らされ楽しく読んだけど、「乾くるみ作品」だと思って読むとヘンテコさが物足りない感じがする。素直に上手い話ではあるんだけど。乾くるみに求めるものが大きすぎるんだろうか。最後の最後で明かされた真相に、それまで読んできてまったく気がつかなかったので驚きはしたけど、このオチ自体はわりとよくあるものでそう珍しいものではないし(某作家の某作品が真っ先に思い浮かんだ)。
1巻てあるけど、2巻はあるのかなあ?なんて思っていたら、、、マイミクさんにとある事実を教えて貰い、この作品てもしかして、知ってる人しか分らない仕掛けがあちこちに散りばめられている、作者のミステリへの愛というか遊び心に満ち満ちてる作品なんじゃないかと思い始めたところ。…凝るところを間違えているような(爆)。
(作中、ミステリ作品の名前がたくさん出てくるので、きっと何らかの形でそれら先行作品へのオマージュになってるんだろうなあと思ってたんですが。「三つの時計」は、たぶん鮎川哲也「五つの時計」。「別荘写真事件」は、、、島田荘司作品を思い出したけど、違うかな?登場する市の名前にも仕掛けがあろうとは。)
6編のうち、好きだったのは「別荘写真事件」。メインとなる謎解き以外の部分で、遊びに遊んでいるばかりか凝りすぎです!(笑)最初の「卵消失事件」も、謎が解けてめでたしめでたし…にはならなそうで、事件のその後のことを考えるだけで楽しい。「三つの時計」も。そうだと知った後に読み返すと、さりげなく張られた伏線の存在に気付かされ、改めて巧さに唸らされる。
続編がもしあって読めるのならば、どんな体裁の物語になるのか。とても待ち遠しい。どっきりするような仕掛けで楽しませてほしい。