2009年2月9日〜2009年2月15日の読書メーター

2009年2月9日 - 2009年2月15日の読書メーター
読んだ本の数:6冊
読んだページ数:1600ページ

踊るジョーカー―名探偵 音野順の事件簿踊るジョーカー―名探偵 音野順の事件簿
気弱なひきこもりで依頼人の聞き込みにお弁当持っていく「名探偵」音野順の華麗なる推理が冴え渡る連作集。ワトソン役の白瀬との掛け合いも楽しく、殺人事件もあるのにどこかとぼけてコミカルな味わい。シリーズ化されて、続く物語も読めますように。
読了日:02月09日 著者:北山 猛邦


殴られた話殴られた話
冒頭の「殴られた話」、うわっ。なんて読んでるこっちの神経までささくれさせ、苛立たせ、ののしらさせ、殴り返したくさせる不愉快な話かと思ったら…思わぬ場所に着地させられて驚いた。そういう話だったとわ。そこまで狂おしく一途に想わさせられる女心が恐ろしくも哀しくも可愛らしくもあり。詩的な文章もよかった。収録された3話とも好き。
読了日:02月09日 著者:平田 俊子


利休にたずねよ利休にたずねよ
苦手な時代劇だけどするすると一気に読了。エンタメとして面白い。短いエピソードを、しかも時代を遡るように重ね、利休の秘密に迫る趣向が面白かった。人それぞれの印象を持つ利休の芯にあるものとは。これで無駄なルビがなかったら、もっとよかったのに。
読了日:02月10日 著者:山本 兼一


ガーディアンガーディアン
第一部と第二部とあって、第一部はガーディアンの「ルール」ゆえに成り立つミステリとして興味深く読んだが(すぐ真相は思いついたが、もうひとひねりあった)、サスペンスの第二部は後味が悪すぎる。彼女のその後がとても気になります。ってか、早く成仏してください(汗)。愛情が歪んで暴走しているとしか思えない。
読了日:02月12日 著者:石持浅海


おんな作家読本 明治生まれ篇おんな作家読本 明治生まれ篇
明治生まれの「おんな作家」をコンパクトながら、その人物・作品の魅力などあますことなく教えてくれるとてもチャーミングな1冊。愛用の品、こぼれ話、お気に入りなど写真を交えて紹介してくれるところもポイント高し。森茉莉目当てに買ったけど(すっごく充実しててよかったー!)、城夏子さんをチェックチェック!「大正生まれ篇」の構想もあるのかしら?期待したい。
読了日:02月12日 著者:市川 慎子


君は永遠にそいつらより若い君は永遠にそいつらより若い
やはりこの作品から読めばよかったと後悔した。津村作品に見え隠れする冷めた視線と暗い澱のようなものはデヴュー作に既にあったのか。のったりした青春群像ものかと思いきや、冒頭に辿りつくための登場人物らの人生がぎゅっと詰まっている物語だった。様々な形の暴力に傷つけられた彼ら、でも差しこむ希望の光に救われた気持ちになる。読み終えてから表紙と改題されたタイトルを見ると、胸が痛んで泣きそうに。それにしてもホリガイさん、素敵ー。
読了日:02月15日 著者:津村 記久子

読書メーター

 先週読んだ本ですんごくよかったのは、初めて読んだ平田俊子作品と、「おんな作家読本」、それに津村記久子さんの太宰治賞受賞作であるデヴュー作でしょうか。
 小池さんにしろ平田さんにしろ蜂飼さんにしろ、詩人が書いた小説ってなんでこう独特のカラーがあるんだろうと不思議になる。綴られる文章にしろ描き出される世界にしろ独自で、どっか歪んで変容してみえて、それゆえに目が離せない。惹きつけられる。
 津村さんと同時受賞だった『刺繍』は読んだのに、なんで今までこの作品を読まなかったのよ〜私のバカバカバカ!と激しく後悔したぐらい衝撃を受けた作品だった>『君は永遠にそいつらより若い』。ま、その衝撃も、津村さんのどっか明るくて暗がりがあるお仕事小説を読んでいたからこそ、感じたのかもしれないけど。太宰賞の選考委員には荒川洋治さんも名前を連ねているのだとか。むべなるかな。