2009年2月23日 - 2009年3月1日の読書メーター

2009年2月23日 - 2009年3月1日の読書メーター
読んだ本の数:7冊
読んだページ数:1683ページ

猫を抱いて象と泳ぐ猫を抱いて象と泳ぐ
詩的なタイトルがぴったり。エピソード同士が共鳴し合い、静謐で透明な哀しみに縁取られたとてもとても美しい小説だった。小川洋子の真骨頂。チェスの世界の奥深さ美しさをほんの少しとはいえ垣間見た気分。大満足。
読了日:02月24日 著者:小川 洋子


ロードムービーロードムービー
『冷たい校舎の時は止まる』を読んでから読めば、よりいっそう琴線に触れる作品になったんだろう。そうできなかったことがとても悔しい。未読な人間からすると、表題作はヘンに凝らなくても十分胸を熱くする友情物語だったと思う。2作目、3作目のどうしようもなくもどかしい思いに、胸が痛んで仕方なかった。思春期の揺れる柔らかく瑞々しい感情を描かせるとなんて上手い作家なんだろう!
読了日:02月24日 著者:辻村 深月


ボイジャーくんボイジャーくん
一回目はそのまま読んで、2回目は付録のCDを聞きながら読んだ。広大な宇宙の海を大冒険しながら、一人ぼっちで旅するボイジャーくん。ボイジャーくんと心が通じたような気持ちになる。読んでいるうちに心細く思ったり物悲しくなったりするんだけど、荒井さんのあったかい絵に励まされるかのよう。音楽と絵の絶妙のコラボレーションを味わうために、ぜひ「ボイジャーくん」の曲を聞きながら、読んでください。
読了日:02月26日 著者:遠藤賢司


鬼の跫音鬼の跫音
ホラーなのかミステリなのか中途半端で、正直微妙。やはりこの作家、短編より長編向きなのかなあ、、、と思いつつ読んで、最後の「悪意の顔」で見直した(笑)。万人受けするいい子ちゃんな作品よりも、不快感を煽り人間の悪意がべっちょり張り付いてるような作品を読ませて欲しい。
読了日:02月26日 著者:道尾 秀介


秋期限定栗きんとん事件〈上〉 (創元推理文庫)秋期限定栗きんとん事件〈上〉 (創元推理文庫)
互恵関係を解消したこと自体衝撃的だったのに。小市民的日常を謳歌する小鳩くんに対して、小佐内さんの周辺は何やらきな臭い。こんなところで以下次巻なの〜(涙)。も少し我慢して、上下巻揃ってから読めばよかった(涙)。…小佐内さん、名前間違えててゴメンなさい。
読了日:02月28日 著者:米澤 穂信


告白告白
5人の「告白」によって構成されている本。正直1章だけで十分なインパクトがあったと思う。母親の立場で読んでしまうと、作中登場する“母親”について、いろいろ考えさせられてしまって鬱々に。誇張されてはいるものの、どの母親にフツーにいそうなんだもん。少年犯罪のこと、自分の子供だけは大丈夫、加害者にはならないと言い切れるんだろうか。
読了日:02月28日 著者:湊 かなえ


少女 (ハヤカワ・ミステリワールド)少女 (ハヤカワ・ミステリワールド)
“因果応報 地獄に堕ちろ”。死を間近で見たいと願う少女たちの一夏の物語。毒がやや足りない気がするものの、単なる「厚い友情の物語」にしないところが心憎い。少女って、繊細でナイーブで気まぐれで無神経で残酷ないきものだもの。それにしてもこう締めくくるか(苦笑)。
読了日:03月01日 著者:湊 かなえ

読書メーター

 評判通り『猫を抱いて象と泳ぐ』はすごく素敵な小説だった。正直『冷たい校舎の時は止まる』を読んでから読めばよかったと後悔はしたけど、順序が逆になったとしても十分に楽しめる作品集だったと思う。好き>『ロードムービー』。絵本だったけど、荒井さんの絵が絶妙によくて、琴線に触れまくり。借りて読んだけど、いつかは絶対に買うつもり>『ボイジャーくん』。『鬼の跫音』は“ミステリ+怪談”なんだとか。うーんうーん。私にはあんまり、、、だったけど、最後の話みたいな作品も忘れず書き続けて欲しいと願ってます。下巻発売の3月11日まで待てなくて上巻を読んじゃって、ただいま激しく後悔中。早く来週になあれ!もろもろの真相が早く知りたいーーー!>『秋期限定栗きんとん事件
 で、今頃になってようやく湊かなえ『告白』と『少女』を読みました。とにかく噂通り『告白』のインパクトは衝撃的だった、、、でも、正直、1章だけでよかったのにとどうしても思わざる得なくって。“告白”する語り手が章ごとに変わることで、見えてくる事実がある趣向は面白いと思ったけど、どうしても後付けにしか思えなくて。新人作家にしては抜群に上手いんだけど、先に行けば行くほど最初の衝撃が薄れていって。(最終章ははっきり言って蛇足だと思った。無理やりすぎる〜。「引き伸ばし」と聞いて思わず納得。それゆえに、あれこれ辻褄の合わないことが出てくるのね。)とか言いつつ、結局は「どいつもこいつも、ロクな奴がいねえ/怒」と言いたくなる悪意たっぷりで嫌な読了感しか残らないところは、嫌いじゃなかった(笑)。
 『少女』は、、、『告白』ほどの衝撃度はないけど、あれこれ工夫して頑張りましたって印象の作品だった。酷く貶している感想も目にしたけど、私は面白く読んだけどなあ。ていうか、かえって『告白』よりもこちらの作品の“悪意”のが性質が悪くないか?湊さんには感動を与える泣けるいい話ではなくて、読む人全てを不愉快にし、いや〜んな気持ちにさせる小説を今後とも書き続けていって欲しいですう。改心しないでね(はあと)。