2009年3月30日 - 2009年4月5日の読書メーター

2009年3月30日 - 2009年4月5日の読書メーター
読んだ本の数:6冊
読んだページ数:1561ページ

架空の球を追う架空の球を追う
直木賞作家森絵都の小説家としての実力と成長を見せつけられた作品集。でも、私が好きだった「森絵都」から随分遠くまで来ちゃったんだなあとしみじみ思った。とはいえ、それまで見ていた日常の光景がぱちんと切り替わる瞬間を描いて胸を突かれる作品ばかり。印象に残ったのは「銀座か、あるいは新宿か」「太陽のうた」「彼らが失ったものと失わなかったもの」など。「太陽のうた」以外、冷静に観察している女性がみな絵都さんに見えてしまった(汗)。
読了日:03月30日 著者:森 絵都


神器〈下〉―軍艦「橿原」殺人事件神器〈下〉―軍艦「橿原」殺人事件
私まで、どこに運ばれていくのが分からない不安と高揚感の中で最後まで読み終えた。ある意味、荒唐無稽で何でもありなトンでも話なんだけど「橿原」に何重にも意味が重ねられていく最中の日本&日本人論が興味深かった。「石目、お前は何者だ?」
読了日:03月31日 著者:奥泉 光


怪談列島ニッポン 書き下ろし諸国奇談競作集怪談列島ニッポン 書き下ろし諸国奇談競作集
南は沖縄から北は北海道まで。怪談奇談を繋いで日本列島を縦断し北上していく試みが面白い綺譚集。大半が見知らぬ土地が舞台だったけど、その場所の空気や匂い、語り手の体温までこちらに伝わってくるかのよう。得体の知れない恐ろしさ不気味さよりも、不可思議さの陰の哀しさ切なさが心に残る作品ばかりだった気がする。印象に残ったのは恒川、有栖川、黒史郎、加門、勝山作品など。加門さんたら、さすがです。もうちょっと読み足りないので、ぜひ続編も!
読了日:04月01日 著者:有栖川有栖、宇佐美まこと、勝山海百合、加門七海、黒史郎、雀野日名子、恒川光太郎、長島槇子、水沫流人


八番筋カウンシル八番筋カウンシル
この作品で芥川賞受賞作されてもよかったんじゃないかな?「地元」が持つ閉塞感と密な人間関係のしがらみにうんざりし、外に出て自由に呼吸したいと願ったことがある人間には、まるで自分の事のように引きつけられる作品じゃないだろうか。ショッピングモールの建設で揺れる地元商店街を縦軸に、それに過去の事件、狭い社会での息苦しいほどの密な人間関係が絡んでくる。14歳の主人公が思い抱いていた未来が、、、と思うとほろ苦いが、この結末はすごく好き。いつまでも浸っていたい作品世界だった。
読了日:04月02日 著者:津村 記久子


本当のうそ本当のうそ
「嘘」をテーマにしたアンソロジー。“本当の嘘”てどういう意味なんだろうかと思いながら読んだ。幸せのための嘘、悪意ある嘘。嘘をつかざるえないそれぞれの事情の描き方が、十人十色で読ませる読ませる。印象に残ったのは吉田篤弘、日向蓬、井上荒野大島真寿美作品など。山本幸久橋本紡作品もよかった。しみじみ。
読了日:04月03日 著者:石田 衣良 他


樹夢―グリーン・ドリーム (幻狼ファンタジアノベルス)樹夢―グリーン・ドリーム (幻狼ファンタジアノベルス)
ジャケ買い、危険(笑)。レーベルはラノベでイラストは綺麗でも、やっぱり中身はお馴染みの友成純一が炸裂していてエログロスプラッタ(これでも控え目かも)。こうして新刊が出ることはファンにとっては嬉しいが、新規読者開拓は、、、うーん。難しそう(汗)。
読了日:04月04日 著者:友成 純一

読書メーター

 うーん。もう森絵都作品は読まなくてもいいかなという気になってしまった。巧いし読ませるんだけど、私の好みからはちょっとずつかけ離れてきたような、、、。ようやく読めた「神器」の下巻は、さすが奥泉光、当たり前のエンタメにはしないことだなあとしみじみ思わされた。しっかし、いいんですかね?こんなに書いちゃって(笑)。未読の奥泉作品がまだまだたくさんあることに感謝しつつ、未読本を少しづつ読み潰していきたい。
 津村さんの『八番筋カウンシル』は、まんま2時間ドラマかなにかにしたら良さそう。映像化してくれたら、ぜひ見てみたいー。久しぶりに読んだ友成純一友成純一だったけど、、、、、、うーん。前後篇の前篇だけ見せられたようでクライマックスのカタルシスが味わえなくってとても不満。ま、書かれなくたってあれこれ想像ついちゃうんですけどねえ(爆)。