一日遅れの私から私へのクリスマスプレゼントが到着

魂追い (角川ホラー文庫)

魂追い (角川ホラー文庫)

“文学少女”見習いの、傷心。 (ファミ通文庫)

“文学少女”見習いの、傷心。 (ファミ通文庫)

鋼の錬金術師 24 (ガンガンコミックス)

鋼の錬金術師 24 (ガンガンコミックス)

 さっそく届いた『魂追い』を読んでしまった。前作『生き屏風 (角川ホラー文庫)』の続編、県境の妖鬼皐月シリーズの第二弾。前作と同様に妖怪やら人でないものものが多数登場するのにまったく怖くないどころか、それらの存在を自然に受け止め、なぜこの作品が「ホラー文庫」のくくりになっているのか、不思議に思う私がいました。
 解説を書いているのが“怖くないホラー”恒川光太郎さんなんだけど、恒川さんと同様独自の確固たる世界観を作り上げていて、その田辺ワールドをこうして小説という形で見せて読ませてもらい、あちこち見て回れるのがとても楽しいし心地よいなあと心底思える作品だった。
 この作品では“魂追い”の人間の子供である縁が登場。ひょんなことから小さな村を離れて皐月と共に旅に出ることになる。儚く脆い魂魄が見える縁を始め、道中で交わる人や妖とのエピソードから、この人と妖が共存する不思議でどこか懐かしさを感じる世界観の奥行きがぐんと深まった気がする。のんびりまったりした雰囲気ながらも「死」を扱っていて、独特の死生観が深く印象に残った。もうしばらく皐月と縁の物語が読めるのかしら。楽しみに待ちたい。でも、このラノベ風の表紙だけはちょっと勘弁だわ(滝汗)。