森奈津子『からくりアンモラル』早川書房 ISBN:4152085630

 ええっと性愛SF短編集。8篇収録されているけれど、どれも「お笑い」がなく、シリアスで。うーんうーん。森奈津子の作品とは、まず性愛ありき。SF的設定というのは、性愛のヴァリエーションを豊富にするための手段でしかないような気がする。この短編集1冊で幾通りの“人間とロボット(セクサロイド)の愛”を学んだことか(もうお腹いっぱい)。嗚呼。人さまに「森奈津子(の作品)が好きなの♪」と言うのを止めようと固く心に誓った私です(汗)。好みだったのは、初恋の甘酸っぱさをじゅんと感じた「からくりアンモラル」、意外な落ちにビックリの「ナルキッソスの娘」、吸血鬼モノの「愛玩少年」かな。森奈津子版「時をかける少女」の「あたしを愛したあたしたち」にもウケてしまいましたけど(笑)。「一卵性」「罪と罰、そして」も、彼女が描く少女小説の延長線上にあるお話で、なかなかに面白かったっす。あ、、、もしかして全部褒めてた?でも私は、シリアスな性愛路線小説よりも、『耽美なわしら』とか『姫百合たちの放課後』とか『西城秀樹のおかげです』とか、性愛を扱いながらも「お笑い」を忘れない森奈津子の小説のが好きだな。あ、好きって言っちゃったよ(笑)。