大森望&豊崎由美『文学賞メッタ斬り!』パルコ ISBN:4891946822

 ものすご〜くたくさんある文学賞について分かりやすく解説してくれて、おまけに「こ、こんなことまでバラしちゃっていいの?」な裏事情やら選考委員への不平不満やらがポンポン飛び出して、文句なしに愉快な1冊。いや、ホントに面白かった。満足満足。豊崎さんの歯に衣着せぬ物言いは爽快だし、大森さんはよく知ってらっしゃる。各ラウンドを総括するお言葉「文学賞の心得」は家訓にしたいほど(笑)。うんうん。
 個人的には豊崎さんと好みが似ていると分かった事が嬉しかったかしら。私も金井美恵子さん、日本ファンタジーノベル大賞受賞作は大好き。「毎回のように芥川賞の候補に挙げられながら落とされる島田雅彦」には思わず共感。確か選考委員の誰かに、島田雅彦は嫌われてたのよねー。
 巻末に『作家の値打ち』での評価方法を流用した「文学賞の値打ち」がついてくるのもいい。ここ1年ぐらいの文学賞受賞作に大森&豊崎さんがコメントつけて採点しているのだけど、世間的評価の高い作品が意外と点数が低かったりして、自分の評価とのギャップが楽しめる。ま、圧倒的に知らない作品ばかりなんだけど(苦笑)。しっかし、読もうと思ってチェック入れていた某作品が、お二人にボロクソにけなされているぅ(苦笑)。
 読まなくていい本が事前に分かる(笑)、素敵なブックガイドですかね。もっちろん圧倒的に「読みたい!」チェック入れた作品のが多かったけど。
 (ダンナが一番ウケたと言っていたのは“宮部みゆきさんのお姉さんネタ(笑)”。世間的認知度なんて、そんなモンなんですねー)