鹿島田真希『1人の哀しみは世界の終わりに匹敵する』河出書房新社 ISBN:4309015492

 “笙野頼子松浦理英子絶賛”でデヴューしたと聞いていたから、どんだけぶっ飛んだちょー難解なJ文学なんだろうかと期待しつつ読んだけど…あ、それほどでもないのね、が正直なところ。青春小説に聖書を融合させる試みが、不思議な面白みを醸し出している作品だ(「天・地・チョコレート」では、エデンのリンゴ(知恵の実)がバレンタイン・チョコなの(笑)。半ズボン少年アレクセイはチョコを食べて、半ズボンが危険で恥ずかしいモノであることに気づいちゃうのだ。うーん。絶妙♪)。ちょっぴり毒があって、ちょっぴり猥雑で、ちょっぴり笑えて、ちょっぴり切なくて。もっとたくさん聖書のエピソードを知っていれば、もっともっと散りばめられている小ネタに反応できたのかも。意外とこの作品、面白かったです。鹿島田真希、チェックチェック!!