射逆裕二『みんな誰かを殺したい』角川書店 ISBN:404873539X

 第24回横溝正史ミステリ大賞優秀賞・テレビ東京賞を受賞した作品。目次を見て、どんなに錯綜した人間ドラマを読ませてくれるのだろうかと、期待で胸が高鳴ったけど、、、前半はともかく後半がダメダメで、とってもがっかり。「もったいぶりやがってー(怒)」が読了後の素直な感想かも。第一部第一章で行われた殺人。その殺人から派生する形で、係わった人間たちそれぞれが抱えるドラマが錯綜する様は、なかなか興味深いものがある。だけど前半のテンポの良さ、ぐいぐい惹きつけて読ませてしまう勢いが、後半(第二部以降)になるとトーンダウンしてしまうのが残念。事件の真相が解き明かされても、ぜんぜんカタルシスを感じないんだもん。おもしろくない。やっぱり題名「みんな誰かを殺したい」からして、ネタバレしてるようなモンだからなー。
 巻末に各選考委員による選評が載ってるけど、私は、坂東眞砂子さんの選評に一番共感したかな。内田康夫がこの作品を絶賛してるのにビックリ!そ、そんなに良かったんですか?(汗)