恩田陸『禁じられた楽園』徳間書店ISBN:4198618461

 久々に読む恩田ホラー。いやはや。誰にだって固く封印しておきたい幼い頃の悪夢の1つや2つはあるでしょう。それがインスタレーションという具現化された悪意によって、いやおうがなしに剥き出しにされるさま、ふとした拍子に隠していた本性が露呈するシーンなぞに、背筋がぞわぞわするような怖さを感じた。心理的にじわじわ追い詰められていく人間の、丁寧すぎるほど丁寧な心理描写が相変わらず巧い。でも、、、感想を書いた時点での私は、(この結末をハッピーエンドの大団円だと見なしたワケだけど、本当にそうなのかしら?それまでの悪魔的負のイメージは払拭され、浄化されているからこそこのラスト、怖くないですか?それまで捷が抱いていた屈託も、何もかもが皆リセットされて、なかったことにしてしまう。まるで、表情を無理やり消し去られたようで、また別の怖さを感じてしまったんですけどね(大汗))