今日の読み終わり

雨はコーラがのめない

雨はコーラがのめない

 愛犬の雨と音楽のある甘美な日々を綴った江國香織さんのエッセイ。雨への溺愛ぶりに新たな一面を発見しつつ、紹介されている音楽をもう少し知っていたらより共感できたのにと、それだけがちょっと残念。言葉で表現しづらい音楽をこうも易々と上手い具合に言い表せるなんて。小説もいいけど、エッセイも上手いなあ。
残虐記

残虐記

 新潟で起こった少女監禁事件を下敷きにしているんでしょうね。“事件の被害者が成長して小説家となって、その小説家によって書かれた作品”という2段構えの構造になっているんだけど、「あくまでも、桐野夏生が創作した小説なんだ」頭では分っているのに、どこまでが真実で、どこからが創作なのか、虚実の入り混じり加減に、つい熱くなって翻弄されまくりましたわ。はぁ。
 読み終えて『グロテスク』ほどの疲労感と妙な高揚感は感じなかったけど、なかなかに考えさせられる作品だったかと。連日のように、昨年奈良で起こった少女誘拐殺人事件の犯人について報道されているから、なおさら。