今日の読み終わり。
- 作者: 粕谷知世
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2004/10
- メディア: 単行本
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アマゾンの密林には「森の母」を祖霊として崇める様々な部族があった。その中の一つ、アマゾネスである「泉の部族」では「森の母」とは別に部族の守護精霊として「森の娘」をも崇めていた。ある日その地に、インカ帝国を征服したピサロ本隊から分れたスペイン人の食料調達班が通りかかったことから、大きく「泉の部族」の、そして大弓部隊長赤弓の運命の歯車が動き出す、というお話。“「森の娘」の真実とは?「泉の部族」の忌まわしい秘密とは?”だけを盛り込み描いた物語だったら、ここまで面白くはならなかったでしょうね。征服者であるスペイン人とインディオとの出会い―相容れない異質な文化と文化との遭遇―をも絡めて、圧倒的な筆力で書き込んでいるところに、とてつもない魅力を感じた私。そういえば著者である粕谷さんのデヴュー作は、インカ帝国の悲劇を描いた『クロニカ』でしたな。
崩壊と再生。そして生命のサイクルは絶えず回り続ける。アマゾンの濃厚濃密な空気を絶えず身近に感じていたよう。積んでる『クロニカ』も早く読まなくちゃね!!
そうそう読んでる間、榛名しおり「ゲルマーニア伝奇」を連想してしまったことよ。こちらはゲルマンの古代の森が舞台だけど。