今朝の読み終わり

魔王

魔王

 あとがきで「ファシズム憲法などが出てきますが、それらはテーマではありません」「読んだ人が真に受けて、失敗などされなければいいな、と思っております。」とあるほど、政治色の濃さ、今の日本が抱える不気味さ不穏さが如実に作品に盛り込まれていて、とても驚いた。揶揄したり、警告を発することが主眼な小説ではないんでしょうね。読み終えた心に残るのは、兄弟の清廉さ、「考えろ考えろ」という言葉、遠くまで澄んだ青い空、そして宮澤賢治(笑)。やはり私もめくれたスカートを直せる人間でありたいと思ったのでした(一瞬、兄弟が『重力ピエロ』の兄弟に重なったけど、違う…よね? 早く文庫にならないかなー)。「兄弟は世界を変えられるのか」「魔王対決は?」などなど、続きが気になる点もあるけれど、続編の構想は、たぶんないんでしょうね(知りたけど、余韻として我慢できる範囲だー)。将来、もし伊坂幸太郎研究書なるものが出来た時にこの作品はどういう位置付けをされるんでしょうねえ。ふとそんなことも考えたり。どういう意図があって、この作品を書かれたのか、それが知りたい。熱烈に(あ、そうそう、あの人物が再登場していたわ!嬉しい!)。年内に『砂漠』も読んですっきりしたかったけど、でも無理そう(涙)。