昨日の読み終わり 角田光代『おやすみ、こわい夢を見ないように』

おやすみ、こわい夢を見ないように

おやすみ、こわい夢を見ないように

 日常に共存する「憎しみ」を描いた短編集。「このバスはどこへ」「スイート・チリソース」「おやすみ、こわい夢を見ないように」「うつくしい娘」「空をまわる観覧車」「晴れた日に犬を乗せて」「私たちの逃亡」の7編収録。
 「角田光代ってスゴイ!」と、この短編集を読みながらそう思った。この短編集(「謎の女」でリンクしてる連作集かとちらり思ったけど、違うようだ)、一種のホラーなんですもん。全編、人間の悪意という負の感情に満ち満ちていて、読んでいるうちにうんざり…してる場合じゃなくなってくるのよね。満ち満ちている悪意がまるで鏡に反射するかのように、自分自身に跳ね返ってくる。
 「怖い」と思うのは、自分の心の奥底にある、だけど噴き出さないよう通常封印してる悪臭ぷんぷんしてるドロドロした醜い感情や、他人につい向けてしまう悪意の存在を、目の前に突きつけられるから。できれば見ないで生きていきたいけど。。。負の感情が自分にも実際にあるのが判っているから、本当に怖い。心底怖かった。
 わざわざ心をざわざわさせ、不愉快にさせるこういう作品を書いちゃう角田さんてば、スゴイ!スゴすぎ!最近、角田作品のファンになりつつある私です。