本日の読書 石田衣良ほか『Love Letter』

Love Letter

Love Letter

 「Love Letter」をテーマにした競作アンソロジー。直球王道ものから変化球のクセものまでバラエティに富んだ「Love Letter」が登場。短編ながら、どの作品も楽しめます…中には合わない作品もあったけど(汗)。
 私のイチオシは、この二人の間に横たわる空気感をぜひよしながふみの漫画で読んでみたい〜!と熱烈思った三浦しをん「永遠に完成しない二通の手紙」と、『雪屋のロッスさん』に収録されてもおかしくない奇妙な職業の男が登場する、いしいしんじ「きまじめユストフ」。これ、いしいワールド全開なので、ファンの方々は見逃しちゃダメ!人生の悲哀を噛み締めつつも、この恋文の行方が、とても気になるわ!(笑)
 過去への旅を描いた井上荒野「虫歯の薬みたいなもの」も、しみじみと良かった。なんか…たまんないね、切なくて。時間を巻き戻して過去のあの頃の自分に戻ることは、もう決してできない。ただ、誰かに真摯に思われていたという事実が、恋文という形として残るのみ。そんな恋文、女として生まれてきたからには、一度は貰いたかったもんさね。
 川端裕人さんのも良かったけど、短いページ数なので構成に凝った分だけ損した感じ。貪欲に流行りもの(?)を作品に取り込んでる石田作品は、いかにも石田さんらしいというか……好きな人は、きっと好きなんでしょうな。
 途中まではすごく良かったのに、結末でがっかりしたのが、前川&山崎作品。ええ、あくまでも好みの問題ですが。