今日の読書 リアルハーン『オオトリ国記伝〈1〉魔物の闇』

魔物の闇 (オオトリ国記伝 1)

魔物の闇 (オオトリ国記伝 1)

 マイミクさんが「面白かった!」と紹介されていて、興味を持った本。時代と場所を特定できないよう地名や名前など片仮名表記しているけど、日本の戦国時代、それも「この三邦って山口県あたりをモデルにしてるんだろうなあ」がバレバレの、外国人が書いたジャパニーズファンタジー。3部作の1作目。
 なんというか…特異な能力の持ち主として生まれてしまったがために、悲しい運命に翻弄されるタケオの数奇な物語、としても十分に面白いんだけど、それよりも何よりも、「日本人じゃない作家が日本の戦国時代を舞台にして書いた物語」としての側面に、強く惹かれてしまうのでした。
 登場人物のネーミングからしてタケオ、シゲル、タケシ、ナオミ、マリコ…とかなり現代的。そう、自分が知識として知っている戦国時代と著者が想像力豊かに描き出した戦国時代とのギャップに、なーんか読んでるうちにふわふわ&くすぐったくなってきちゃうんですよね。そんな感触が味わえるところが、たまらなく魅力的だし、快感なのでした。とはいうものの、武家社会の慣習や、その当時の不穏な社会風景など、かなり勉強された様子が如実に作品に反映されていて、かなり克明に書き込まれていて感心することも。 
 <神を敬い、人殺しを禁ずる隠者の教えを受けて生まれ育ったものの、刺客として人殺しも厭わない部族の血を引くタケオ。相反する血のせめぎ合いに苦悩して、ただでさえ大変なのに、オオトリ家の養子となって、オオトリ家にも忠誠を誓うようになっちゃったから、もう大変!自分の幸せのために生きるのか。それとも血を選び、何もかも捨てて部族の一員として生きるのか。ああ、タケオの明日はどっちだ!>
 想像していたよりも物語が早く進み、まったく先の展開が読めない状態で1巻目は終わります。三邦はどうなるの?タケオのこれからは?カエデとの恋の行方は?ああ、気になる気になる〜。さほど待たされずに、2巻目以降読めますように。