本日の読書 真瀬もと『お楽しみはこれからだ!』

 長かった、、、面白くない訳ではなかったんだけど、とにかく長かった、、、。
 時は1927年。無声映画からトーキーへと移行しようとしている禁酒法時代の華やかなりし映画界が舞台。ハリウッドのスター女優に届ける犬のお供で英国から渡米したメイドのケイトとワンコが活躍する本格推理。
 時代背景が重なる高口里純『伯爵と呼ばれた男』を連想しながら読んでました。ただ、なんというか…海外ドラマの「名探偵ポアロ」でお願いしたいのに、NHK製作のアニメの方もポアロだったみたいな、そこはかとなくラノベ感が漂ってるのがちょっとイヤ。小説として読むよりも、映像で見た方が楽しい作品かもしれない。華やかなりしハリウッドは、やはり文章よりも映像で楽しむべきだから。
 謎は2本立て。二人の女優の死の真相と、叔父が英国に戻らない理由。元ロンドン警視庁警部で、今はNYで新鋭のカメラマンとして活躍してる叔父という設定自体、かな〜りラノベちっくで苦笑い。
 二人の女優の死の真相を探るうちに、結果的に叔父が英国に戻らない理由が判るというのは至極納得できるし、腑に落ちたんだけど、肝心の二人の女優の死の真相ってヤツが、ここまで長くして引っ張る意味があるのか?ってぐらいに魅力なし。かな〜りどうでもいい(汗)。二転三転した結果、クライマックスで全貌が明かされるんだけど…その真相にまったくサプライズを感じなかった私です。わはは(苦笑)。
 この作品、真瀬さんが早川書房から出した本の一発目『アルレッキーノの柩』とリンクしてるのかしら?ケイトが仕える若旦那さまって…。もしかして元警部が警部として活躍してるのかしら?だったらこの作品から読んで大失敗。元警部という立場ながら冴え渡る名推理ぶりを、この作品でも披露していたから。
 「メイドが名探偵」で売ろうとするなら、ラノベのレーベルで挿絵入りで刊行すれば良かったのに。早川書房のこのレーベルで出したのは、失敗だったのでは?と思ってしまう(しかも休暇中のメイドってメイドなのか?ふつーの女の子じゃないの?)。
 とは言うものの、舞台となる時代背景や、華やかなりしハリウッドの裏側にあるドロドロした人間の欲望など興味深く読んだ。この作品とリンクする作品が、もう一作は確実に生まれそう…じゃない?なんだかんだ言っても結局、次が刊行されれば読んでしまいそうだ(苦笑)。