最近の読書 朝松健『東山殿御庭』

東山殿御庭

東山殿御庭

 あの一休宗純を主人公にした伝奇ホラーの連作集。我が身に降りかかる様々な妖気漂う怪異をどう切り抜けるのか、怖いというよりもグログロで、生理的嫌悪感を抑え込みながら、でも手に汗握ってワクワクしながら、最後まで楽しみました♪
 読み進めるうちに、頭を過ぎるのは既視感。こんなの、どっかで体感したことがある、、、クトゥルー系の怪異譚がお好きな方には、たまらなくツボなんじゃないかしら。
 初出はいずれも「異形コレクション」。っていうことは、まずお題があって、それに即した作品を書かれたということ。中には伝奇で書くには難しいお題もあったのに、それを上手に消化した上で自身のキャラクタシリーズとして書かれているところに素直にスゴイなあと感心してしまいます。
 強烈な印象を残したのは、「應仁黄泉圖」。お題を確認して、作者の奇想爆裂っぷりに脱帽しました。凄すぎる。表題作はなーんか「陰陽師」風。無邪気さが不気味で恐ろしいものの、怪異の謎が解き明かされたのちに胸に残るのは、しみじみとした寂寥感。しっかし、その時代から「しうせん」があったのか!驚き!
 「朝松健の本が図書館にあるぞ!」の嬉しさで何も考えずに借りて読んでしまったけど、一休宗純を主人公にした伝奇時代小説シリーズの番外編的位置付けにある作品集なんですね。当然のように未読なので、他のシリーズ本も読んでみたいです。