本日の読み終わり 野村美月『“文学少女”と繋がれた愚者』

“文学少女”と繋がれた愚者 (ファミ通文庫)

“文学少女”と繋がれた愚者 (ファミ通文庫)

 ネタばらししてるゆえ、以下、完全反転にて感想をば。
楽しみにしてる作品なので、到着即読み始め。夢中になって、一気にさくっと読み終わり。ま、さくっと読むには、あまりにも痛くて痛くてこちらの胸までずるむけしそうなぐらいひりひりするお話だったけど。
 3巻は、あの武者小路実篤センセの『友情』がモチーフ。心葉くんのお友達として登場する人物が「芥川」で笑ったけど、このネーミングには意味があったのねー。クライマックスで思わず胸がじんわり。でもこの巻は、芥川の物語と見せかけて、心葉自身の物語を鋭く抉ってくる内容だったと思う。『友情』で友情と恋愛の板ばさみになって苦悩する登場人物が、芥川、心葉と重なってくる。このヘンの構成の具合が、ものすごく巧い。クライマックスでの遠子先輩の言葉が、半端じゃなく心に響いた。
 本の切り裂き犯人と先輩の傷害犯人が××さんだというのは途中でなんとなく勘付いたけど、▲▲さんが■■さんだったとは!それにはおったまげたわ。途中で芥川の物語には興味をなくしていたので、それでぐいと興味を引き戻されたって感じ。そして、芥川の物語にも『友情』が深く係っていたなんて!驚き!ちょっと視点がずれただけで、真実は真逆にさえ見えてしまうんですねえ。恐ろしい。
 で、で、で!!劇でクライマックスで、それでめでたしめでたしかと思ってたら!最後の最後でどんでんかえしがあるんですもん!そ、そ、そうよね、確かに心葉くんはああとは言ってなかったわ。でも、彼の口ぶりからああだと思い込まされるじゃないですか!これにはまんまとやられたわ!3巻は4巻への布石だったのね。こんな思わせぶりに終わらせるなんてヒドすぎ!ああ、早く4巻が読みたいよ〜ジタバタジタバタジタバタ。
 それにしてもこの巻ほど、遠子先輩の存在に、心癒された巻もなかったかもしれない。遠子先輩の登場シーンのいちいちに笑い転げていたかも!遠子先輩、素敵すぎ!大好きーーーーっ!看板での先輩の姿も見れて、幸せー(笑)。先輩の卒業とともに、やっぱこのシリーズも完結しちゃうのかしら。それはちょっと寂しいわあ。
 そうそうこの巻では、いろんな謎が解けたんでした。なぜ琴吹さんがツンデレなのか、味が判らないはずの遠子先輩が、なぜ食べ物の味を表現できるのか。次巻では「作家井上ミウ」と美羽ちゃんにまつわる心葉くんの過去が、少しでは明かされるのかなあ。早くすっきりしたいので、出し惜しみしないで読ませてくださいね(はぁと)