本日の読書 堀川アサコ『闇鏡』

闇鏡

闇鏡

 日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞作。だけど、なんだかホワイトハート大賞受賞作読んでる感じがした。ホワイトハートでシリーズ化してくれれば、どこまでもついて行きますとも!
 “南北朝の騒乱の記憶がまだ癒えない室町初期が物語の背景だ”というのがものすごく効いているお話。それゆえの悲劇、引き裂かれる2人。もっとも、げに恐ろしきは女かなってのが正直な感想ですが。哀れ、ですねえ。しみじみ。
 (早いうちから読者には手の内が明かされてしまうので、主人公の龍雪がものすご〜く鈍すぎに見えちゃうんですよね。「なんで、お前は、こんなことに気づかないんだっ!」って、読んでるとすごくイライラするのが欠点か。それにしても源氏名ってヤツは、まだこの時代には存在しなかったのかしら?)
 強面のクセに臆病な龍雪を中心に、陰陽寮漏刻博士を務める小太りで××癖のある龍雪の幼馴染の義時、龍雪の下で働く放免のむふふな過去の持ち主清輔と元スリの蚕児と役者が揃ってるので、これだけで物語を終わらせるのは、とても惜しい!朝廷側の検非違使と幕府側の侍所の対立なんぞも、弄れば面白そうなお話が出てきそうだしー!ぜひシリーズ化して欲しい!個人的には大賞受賞した『僕僕先生』よりも、こちらの作品の方が好き(はぁと)。