本日の読書 ダイアナ・ウィン・ジョーンズ『海駆ける騎士の伝説』


 ヴィクトリア朝姉弟が、伝説の国に渡って繰り広げられるハラハラドキドキの冒険と友情と恋の物語。分量はあるものの短篇集に収録されたとあって、凝った伏線もなく、ストーリは意外とシンプル。
 大公の座を狙う血生臭い陰謀が着々と進行しているっていうのに、全編を通じてなぜか純朴でのどかなのがいいですね〜(笑)。悪人が子供の目から見てもいかにも悪人なのがちょっと…とは思うものの、歴史や慣習の違いに戸惑いながらも大活躍する少年少女の姿に拍手喝采!端役の脇役でさえ生き生きとして魅力的だし、ユーモア漂う会話につい笑みがこぼれてしまいます。伝説の国の歴史もしっかりしていて、世界観に厚みがあるのもいいですねー。
 ダイアナ・ウィン・ジョーンズがデヴュー前に書いた同じ湾を舞台とした6編の連作集のうち、この作品は6番目の作品なのだとか。そしてこの作品以外、すべて処分してしまったのだとか。
 今となっては読む事ができない、他の5編が読めないのが本当に残念。作品内のあちこちに、他の5編の存在を仄めかす伏線が存在しているから。ああ。ラルフがどうしてのちの「不運の大公」エドワードの曽祖父になるのか、それが知りたくて知りたくてたまんないわ〜!!