本日の読書 恩田陸『中庭の出来事』

中庭の出来事

中庭の出来事

 この物語がどこに向おうとしているのか、冒頭からまったく見当がつかず、まるで行き先が知らないバスについうっかり乗っちゃったみたいだ。ただ、芝居(虚構)と現実(楽屋裏)が入り交じり交錯しているさまは面白く(楽屋裏と思っているのが現実とは限らないんでしょうね)、作品世界に身をゆだねると眩惑される酩酊感を味わえる作品かと。
 どうなることかと最後まで読んだけど、上手く煙にまかれてお仕舞い、だったような(苦笑)。
 何だかこの作品は「木を見て森を見ない」じゃなくて「森を見ずに木を見た方がいい」作品だった気がする。私にとってはね。セリフでの女優三人の書き分けが素晴らしいのひと言。枝葉の部分のさりげない話題に本音炸裂か!?みたく、勘ぐって楽しめるところも良かったー♪(p.352、p.381あたり/笑)
 雰囲気としては、「チョコレートコスモス」より「木曜組曲」に近いと思うな、この話。
 しっかし、アパートの隣の女の子の部屋にあった黒いゴミ袋の中身が気になる気になる!気になって、夜も眠れないよ〜(笑)。