本日の読書 中島たい子『建てて、いい?』

建てて、いい?

建てて、いい?

 30半ばの独身女一人、居場所を求めて家を建てるの巻。デビュー作が「漢方」で、次が「PMS」、本作品は「家を建てる」がテーマ。テーマは異なるもののどのお話も、結局はみんな同じだ(苦笑)。主人公の家作り奮闘記を通じて「家とは何か」ユーモラスな語り口で問うたり、同年代で同様な境遇な女性の共感を得られるだろうエピソードを散りばめているところは読ませるし、小説のテクニックとしては上手い作品だとは思うんだけど、結局、既婚家持ちの私は、想定読者外だったということなんでしょうね。
 同時収録されていた「彼の宅急便」のが好みだった。30分ぐらいのよくできたドラマを見てるみたいだ。自分から切った元彼からの荷物を、待つともなしに待つ女の話。落とし方が巧いですねえ。くすくす。読了感爽やかですごくいい感じだ。