鎌倉文学館で開催中の「澁澤龍彦 カマクラノ日々」展に行く

 7月8日までの会期なので、もうさほど日数がない。
 「それまでに行かなきゃ!でもどうせ行くなら、梅雨時でさほど暑くない日がいいなー!」で、ダンナの定休である22日にたまたま行くことにしたんだけど、よりによってその日が、JR事故の日と重なるなんてー(号泣)。
 「さあ、もうすぐ乗り換え駅だっ!」いざ乗り換えんと構えた時に「架線事故により宇都宮線は運休してます」なーんてアナンスされちまったよ(号泣)。ダンナや長男と違って私は鉄じゃなくて一般人なんだ(涙)。突然のことでどうしていいのか判らずパニックになりながらも、乗る予定だった湘南新宿ラインを使わず私鉄と他のJRを乗り継いで、無事鎌倉まで辿り着きましたが。携帯持ちになって、本当に良かったー。
 鎌倉文学館を訪れるのは、これが初めて。閑静な住宅地を過ぎ、新緑のトンネルを抜けた先に鎌倉文学館の洋館*1がありました。曇天でなければ、青空に映えてとても素敵だったんだろうな。その姿が見れなくて、ちょっと残念。庭先から見下ろした先に、海が見えるよっ!感激!


 お目当ての澁澤龍彦展は、こじんまりとひっそりとありました。20帖もないこじんまりとした洋室2つ分。だけど、展示の中身はものすご〜〜く密度が濃くて充実したものでした。
 他の作家とのハガキのやり取り、愛用の品々、生原稿、創作ノート&創作メモ、澁澤の手になる写真、小学生時分の成績表や、パスポートに、愛用のスーツにガウンまで!
 鉛筆で原稿を書いてたのねえ。で、青インクの万年筆で直しを入れると。息遣いさえ感じられるようで、思わずガラスケース越しにじーーーーっと見つめてきちゃった。
 他の作家との交友の記録で、一番印象に残ったのが、三島由紀夫から結婚祝いに贈られたオルゴール付き小机についていた熨斗(三島由紀夫による自筆)と送り状のハガキ。熨斗までちゃんと保存されているのに驚き、その日付に絶句。昭和45年て!!
 惜しげもなく展示されてた創作メモ&創作ノートを見て、目の色が変わってたかも(笑)。「高丘親王」の創作ノートは、ケースにへばりついてメモしてきちゃいました(笑)。パンフに載っていない部分に、荒俣宏さんのお名前まであったんですもん!
 一番たまらなかったのは、入院中の筆談メモかな。つい涙が。第三者の目に晒されるとは思ってもいなかったでしょうに、、、。ああ。月見ウドン!月見ウドンを見るたびに、澁澤のことを思い出して涙しそう(涙)。


 ちょうど鎌倉は観光シーズンのど真ん中で、中学生の集団まで見学に訪れていたのには驚き。澁澤目当て…じゃないよね?教科書にだって、載っちゃいないだろうし(爆)。ただよく判らないなりにも澁澤の世界に触れたことを忘れないで欲しい。いつかしかるべき時期に澁澤の作品世界と巡り合い、触れて欲しいと切に願います。たまたま来たら澁澤展が開催中だったなんてそんな僥倖、メッタにないことなんだから!

*1:旧前田侯爵家の鎌倉別邸